potrf (USM バージョン)#

対称 (エルミート) 正定値行列のコレスキー分解を計算します。このルーチンは、oneapi::mkl::lapack 名前空間に属します。

説明#

このルーチンは、対称正定値行列、または複素数の場合はエルミート正定値行列 A のコレスキー分解を形成します。

実数データの場合 A = UT*U、複素数データの場合 A = UH*U

uplo=mkl::uplo::upper の場合

実数データの場合 A = L*LT、複素数データの場合 A = L*LH

uplo=mkl::uplo::lower の場合

ここで、L は下三角行列、U は上三角行列です。

API#

構文#

namespace oneapi::mkl::lapack { 
  sycl::event potrf(sycl::queue &queue, 
  mkl::uplo uplo, 
  int64_t n, 
  T *a, 
  int64_t lda, 
  T *scratchpad, 
  int64_t scratchpad_size, 
  const std::vector<sycl::event> &events = {}) 
}

potrf の USM バージョンは、次の精度とデバイスをサポートします。

T

デバイスサポート

float

CPU および GPU

double

CPU および GPU

std::complex<float>

CPU および GPU

std::complex<double>

CPU および GPU

入力パラメーター#

queue

計算が実行されるデバイスキュー。

uplo

A の上三角部分と下三角部分のどちらが格納されているか、また A がどのように因数分解されるかを示します。

uplo=mkl::uplo::upper の場合、配列 a には行列 A の上三角部分が格納され、行列の厳密な下三角部分は参照されません。

uplo=mkl::uplo::lower の場合、配列 a には行列 A の下三角部分が格納され、行列の厳密な上三角部分は参照されません。

n

行列 A の次数を指定します (0 n)。

a

入力行列 A へのポインター。入力行列 a を保持する配列には、行列 A の上三角部分または下三角部分が含まれます (uplo を参照)。a の 2 番目の次元は max(1, n) 以上でなければなりません。

lda

a の先頭次元。

scratchpad

ルーチンが中間結果を保存するスクラッチパッド・メモリーへのポインター。

scratchpad_size

T タイプの浮動小数点要素の数であるスクラッチパッド・メモリーのサイズ。サイズは、potrf_scratchpad_size 関数が返す値以下であってはなりません。

events

計算を開始する前に待機するイベントのリスト。デフォルトでは空のリストになります。

出力パラメーター#

a

ポインター a が指すメモリーは、uplo で指定されたコレスキー係数 U または L によって上書きされます。

例外#

例外

説明

mkl::lapack::exception

この例外は、計算中に問題が発生した場合にスローされます。例外オブジェクトの info() メソッドを使用して、問題の情報コードを取得できます。

info = -i の場合、i 番目のパラメーターの値が不正です。

info = i で、detail() が 0 を返す場合、次数 i の先頭小行列 (つまり行列 A 自体) は正定値ではないため、因数分解を完了できませんでした。これは、行列 A の形成時にエラーが発生したことを示す可能性があります。

info がスクラッチパッドのサイズとして渡された値と等しく、detail() がゼロ以外を返す場合、渡されたスクラッチパッドのサイズが十分ではなく、必要なサイズは例外オブジェクトの detail() メソッドによって返される値以上である必要があります。

戻り値#

計算が完了したことを確認するために待機する出力イベント。