Cinema 4D* でリアルな 3D シーンを作成する

イメージインテル® oneAPI

この記事は、インテル® デベロッパー・ゾーンに公開されている「Create Realistic 3D Scenes with Cinema 4D*」(https://software.intel.com/content/www/us/en/develop/articles/create-realistic-3d-scenes-with-cinema-4d.html) の日本語参考訳です。


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息を呑むような 3D シーンを素早く簡単に作成したい場合、Cinema 4D* が最適です。ハリウッドの超大作映画、人目を引くオンラインビデオ、写真のようにリアルな雑誌の広告など、記憶に残るシーンの作成に使用されています。

Maxon の Cinema 4D* は、インテル® oneAPI レンダリング・ツールキットのインテル® Embree とインテル® Open Image Denoise を採用しており、モデル化、レンダリング、マテリアルが向上しています。インテルのエンジニアは、Maxon の開発者と協力して Cinema 4D* が最新のインテル® CPU を活用できるように最適化しました。

Maxon 社のエンジニアリング・ディレクターである Karsten Jancke 氏は次のように述べています。

「シーン・レンダリングは、光子が通る光路を逆にシミュ―レションするレイトレーシングに基づいているため、プロセッサーに負荷がかかります。光線は、バーチャルカメラを通して 3D シーンに投射され、アーティストが配置したオブジェクトと交差します。オブジェクトにヒットすると、オブジェクトのテクスチャー、色、半透明、反射率などの材料特性が考慮されます。光線は、この最初のヒットからさらに他のオブジェクトに向かって反射または屈折したり、影を計算するため光に向かって直接照射されます。このプロセスは、レンダリング画像の各ピクセルに対して何度も繰り返されます。多くの光線を効率良くレイトレースするための重要な要素として、レイトレーシング・アクセラレーション・データ構造の使用があります。これは効果的なデータベースで、光線とシーン・オブジェクトの交点を素早く照会できます。このデータ構造の構築プロセスも非常に時間がかかります。」

パフォーマンスの向上

Cinema 4D* でのフォトリアリスティックなシーンのレンダリングを高速化するため、Maxon はインテル® oneAPI レンダリング・ツールキット (英語) を使用しています。Jancke 氏は次のように述べています。

「インテル® oneAPI レンダリング・フレームワークを使用して、レイトレーシングを高速化するデータ構造を効率良く構築し、ユーザーの CPU で利用可能なインテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 (インテル® SSE) とインテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション (インテル® AVX) の最適化を利用して、シーン・オブジェクトに対して多数の光線をトレースします。インテル® oneAPI レンダリング・フレームワークは、単に高速でメモリー効率に優れているだけでなく、良く設計されたアーキテクチャーにより非常に多機能です。このフレームワークは、当社の多様なニーズに合わせてカスタマイズ可能な構築キットです。GPU レンダラーも、インテル® oneAPI レンダリング・フレームワークの高品質なアクセラレーション・データ構造の恩恵を受けます。

これにより、従来のレイトレーシングだけでなく、衝突検出にもインテル® oneAPI レンダリング・フレームワークを使用できます。最近追加された Voronoi Fracture 機能、特定のテクスチャー・ペイント速度の向上、いくつかの選択ツールは、インテル® oneAPI レンダリング・フレームワークを利用して実現されたもので、いくつかのユースケースは大きなシーンで桁違いに速くなっています。

インテルと協力して、Cinema 4D* のパフォーマンスをさらに向上させることができたことを嬉しく思います。」

実際のワークロード

4 人のデジタル・アーティストを招き、インテル® Xeon® W-3175x プロセッサー・ベースのワークステーションで Cinema 4D* を体験してもらいました。この記事では、Cinema 4D* とインテル® Xeon® W-3175x プロセッサーの組み合わせが彼らのワークフローにどのような変化をもたらしたかを紹介し、彼らが作成したファイルをダウンロードしてさまざまな 3D シーンを試す機会を提供します。

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木製玩具をモデル化する

木の森
David Brodeur 氏は、靴や電子機器などの製品の宣伝やデモ用 3D モデルを作成するアニメーターです。

新しいワークステーションを受け取った Brodeur 氏は、Cinema 4D* R20 の新しいマルチインスタンス機能を使って、何千本もの木のクローンを作成し、おもちゃの森のシーンの制作に取り掛かりました。この機能がなければ、Brodeur 氏のシーンは 3 億 8,000 万のポリゴンを必要とし、「間違いなくどんなコンピューターもクラッシュしていたでしょう」と Brodeur 氏は語っています。木々のモデル化には、基本的な形状を組み合わせて複雑なモデルを作ることができる、新しい Volume Builder を使用しました。Brodeur 氏は、次のように述べています。

「これにより、さまざまな樹木のデザインを素早く手順に従ってモデル化できました。別のマシンを使っていたら、マシンが動作しなくなるのを防ぐため、Volume Builder オブジェクトを編集可能にする必要があったでしょう。この新しいワークステーションでは、画面の更新が迅速に行われるので、すべてを手順通りに進めることができました。」

ワークステーションのスピードは Brodeur 氏にとって非常に重要です。仕事のスピードが速ければ、より多くのプロジェクトを引き受けて完成させることができるからです。

「インテルの新しいマシンで仕事をしてみると、CPU がいかに速いかは明白でした。以前使っていたワークステーション (インテル® Core™ i7 5960x プロセッサー搭載) は非常にパワフルなマシンでしたが、あるフレームのレンダリングに 35 分もかかっていました。同じシーンファイルを、インテル® Xeon® W-3175x プロセッサーを搭載したワークステーションでレンダリングしたところ、8 分しかかかりませんでした1 (表 1 を参照)。プロの 3D アーティストにとって、これはゲーム・チェンジャーです。スピードが上がったことで、制作時間を短縮できただけでなく、以前はプレビューやレンダリングに時間がかかるため敬遠していた、より高度なシーンやマテリアルを柔軟に制作できるようになりました。」

表 1: インテル® Xeon® W-3175x プロセッサー・ベースのワークステーションは David Brodeur 氏のレンダリング時間を大幅に短縮1

プロセッサー シーンのレンダリングにかかった時間
インテル® Core™ i7 5960x プロセッサー 35 分
インテル® Xeon® W-3175x プロセッサー 8 分

木の森のワークロードをダウンロード (78.8MB、ZIP 形式)

 

ビデオゲームの新しいキャラクターをデザインする

 

戦士

Jeff Dotson 氏は、Kevin Maistros 氏と Dotson Film Company のチームとともに、ハイテク企業やエンターテインメント企業の製品発売キャンペーンに取り組んでいます。Jeff Dotson 氏は、次のように述べています。

「3D は当社のプリビジュアライゼーション、アニメーション、ポストプロダクションのパイプラインに不可欠な要素です。R20 で CADファイルをインポートできるようになったことで、既存の CAD ファイルの使用を許可してくれたクライアント向けに、製品を 1 対 1 で表現するプロセスを効率化できます。」

Dotson 氏と Maistros 氏は、Cinema 4D* と新しいワークステーションを使って、極東の過去を舞台に、架空のキャラクターを格闘ゲームのコンセプトアートとして表現したシーンを制作しました。Dotson 氏が環境を担当し、Maistros 氏がキャラクターを制作しました。

Dotson 氏は、次のように述べています。

「シーンのわずかな調整であっても、特にカメラなどの調整では、アーティストが調整しているディテールに完全に没頭するには、リアルタイムの応答性が求められます。インテル® Xeon® W-3175x プロセッサー・ベースのワークステーションは、Cinema 4D* のビューポートでの作業をスムーズかつインタラクティブに行うことができます。同様に、Physical Renderer では、インタラクティブなプログレッシブ・レンダリング領域で迅速な反復作業が可能です。強力な CPU のおかげでレンダリング・エンジンのパフォーマンスが向上し、変更した結果をほぼ瞬時に確認できるようになりました。以前はモバイル・ワークステーションを使用していましたが、新しいプロセッサーを使用した感想は、自転車にしか乗ったことがなかったのにスポーツカーにアップグレードしたようなものです。」

戦士のワークロードをダウンロード (230.47MB、ZIP 形式)

ベニスの運河をモデル化する

ベニス

Aaron Covrett 氏は、3D モデリングが重要な役割を果たすアセット制作とルック開発を専門としています。通常、非常に詳細なスタティック・メッシュを作成し、大規模な環境を演出します。過去には、ニューヨークの地下鉄の駅に焦点を当てた都会的なシーンである「Kingston*」を制作しました。新しいワークステーションでは、ベニスの運河をモデル化しました。Covrett 氏は、次のように語っています。

「個人プロジェクトである Kingston の後、別の都市環境に取り組むというアイデアは魅力的でした。エキゾチックな建築物、カラーパレット、水の要素など、ベニスのテイストを加えることは、自然な流れであり、エキサイティングな挑戦だと感じました。

これは非常に時間のかかる作業なので、スピードが重要な要素となります。フィードバックを迅速に得られることで、意思決定を迅速に下し、反復、改良、改善を行うことができます。以前のマシンでは、変更が反映されるまで 10 分はかかっていました。

新しいマシンでは、Cinema 4D* やさまざまなサードパーティー製ツールでの作業が格段にスムーズになりました。R20 で導入された新しい Volume Database モデル化ツールは非常に反応が良く、ネイティブの Physical Renderer のような CPU ベースのエンジンを使ったレンダリングでも、劇的なスピードアップが見られました。」

このワークステーションがもたらす新たな可能性について、Covrett 氏は次のように述べています。

「特に期待しているのは、より重いシミュレーション・タスクでの作業です。Houdini* や RealFlow* などのツールはマルチスレッドを利用するため、この CPU の素晴らしいスレッド数 (28 コア、56 スレッド) は重宝しています。」

Covrett 氏が、実際の 3D ワークロードを使用する Maxon 社のベンチマーク・ツールである Cinebench* R20 でワークステーションのパフォーマンスを測定したところ、12,78822 という結果になりました。Cinebench* のスコアは、ベンチマークでテストされたコンピューターのパフォーマンスを反映しており、高いほど良いとされています。このベンチマークは、プロセッサーのパフォーマンスを測定しますが、GPU は測定しません。Covrett 氏のスコアは、Maxon 社のエンジニアリング・ディレクターである Karsten Jancke 氏の言葉を借りれば、「極めて高性能なワークステーション」を意味します。Covrett 氏が以前使用していたマシン (インテル® Core™ i7-6700k プロセッサーと 2 枚の NVIDIA GeForce* GTX 1080 Ti グラフィックス・カード搭載) のスコアは 2,2242 でした。Covrett 氏は、「初日からパフォーマンスの向上に感銘を受けました。」と語っています。

ベニスのワークロードをダウンロード (722 MB、ZIP 形式)

キッチンに光を当てる

apollinaristr

Marc Potocnik 氏は「renderbaron」というスタジオを所有しています。主な事業内容は、複雑な科学技術コンテンツを説明するための高品質な 3D ビジュアライゼーションや視覚効果、自動車のショールームや見本市、記者会見用のアニメーションや静止画などを制作することです。顧客には、ドイツの大手放送局や大手自動車メーカー 2 社などがあります。

新しいワークステーションで、彼は春の日常的なキッチン風景である「Apollinarisstr」を制作しました。生活感のあるキッチンに朝の光があふれています。Potocnik 氏は、次のように述べています。

「果物や野菜だけでなく、金属やプラスチック、セラミックなどのプロシージャル シェーディングのプロセスに主眼を置きました。局所照明でシーンを照らすことで、すべての光を直接コントロールできるようにしました。」

クリエーターは Cinema 4D* を使用

Potocnik 氏は、次のように語っています。

「以前使用していたインテル® Xeon® プロセッサー E5-2699 v4 (44 コア、2.20GHz) ベースのワークステーションは3、Cinebench* R20 のスコアが約 12,000 CPU であったので、28 コアの新しいワークステーションのスコアが 13,000 CPU 以上に達したことに感銘を受けました3。高速であればあるほど、素晴らしいです。

1 つのプロセッサー・コアの最大ターボ周波数が 3.80GHz であることは、1 つのコアでのみ実行される処理にも有利です。Adobe After Effects* アニメーションのポストプロダクションでは、特にその恩恵を受けました。」

Potocnik 氏はシーンの細部にまでこだわっており、次のように述べています。

「マルチインスタンスを使えば、システムに負荷をかけずに、トマトの茎についた小さな毛や、普段あまり使わない表面についた埃の繊維などを表現できます。」

「信頼性」は、ほかのクリエイターをインタビューした際にも出てきたテーマです。Potocnik 氏は、次のように語っています。

「私のスタジオである renderbaron では、複雑なアニメーション・プロジェクトのレンダリングに、10 数台のワークステーションを使っても数日かかることが珍しくありません。インテル® Xeon® CPU は 24 時間 365 日の運用でも安心して任せられるため、非常に心強いです。」

また、いつでも、どこでも生産的に作業を行えるようにするため、デジタル・アーティストにとってモビリティーはますます重要になっています。インテル® Core™ i9-8950HK プロセッサー (6 コア、2.90GHz) ベースのモバイル・ワークステーションをテストした Potocnik 氏は、次のように感想を述べています。

「この便利なノート PC が、長年使ってきた私のワークステーションよりも速いとは信じられませんでした。本格的なワークステーションのパフォーマンスを備えたモバイル・ワークステーションは、外出先やホームオフィスで作業する際の理想的なパートナーであり、スタジオではレンダリング・クライアントとして Maxon Team Render プロセスにシームレスに利用できます。」

この Cinema 4D* シーン (renderbaron_apollinaristr.c4d と関連テクスチャー) をダウンロードすることで、以下の使用条件に同意したことになります。このシーンの著作権は Marc Potocnik、renderbaron、www.renderbaron.de にあります。このシーンは、ベンチマークと個人的な学習目的でのみダウンロードして使用できます。このシーンまたはその一部やアセットの商業的な使用、販売、再配布は固く禁じられています。

Apollinarisstr の完全版はこちら (英語) から視聴できます。

Apollinarisstr のワークロードをダウンロード (334MB、ZIP 形式)

入手方法

Cinema 4D* R21 以降は、インテル® oneAPI レンダリング・ツールキットを採用しています。

Cinema 4D* をダウンロード: https://www.maxon.net/en/downloads/cinema-4d-r23-downloads/

ダウンロード

Apollinarisstr のワークロードをダウンロード (334MB、ZIP 形式)
戦士のワークロードをダウンロード (230.47MB、ZIP 形式)
木の森のワークロードをダウンロード (78.8MB、ZIP 形式)
ベニスのワークロードをダウンロード (722MB、ZIP 形式)

脚注

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性能に関するテストに使用されるソフトウェアとワークロードは、性能がインテル® マイクロプロセッサー用に最適化されていることがあります。

SYSmark* や MobileMark* などの性能テストは、特定のコンピューター・システム、コンポーネント、ソフトウェア、操作、機能に基づいて行ったものです。結果はこれらの要因によって異なります。製品の購入を検討される場合は、他の製品と組み合わせた場合の本製品の性能など、ほかの情報や性能テストも参考にして、パフォーマンスを総合的に評価することをお勧めします。性能やベンチマーク結果について、さらに詳しい情報をお知りになりたい場合は、http://www.intel.com/benchmarks/ (英語) を参照してください。

1. 以前のプラットフォーム: インテル® Core™ i7 5960x プロセッサー、4 x 980ti GPU、2TB SSD。新しいプラットフォーム: インテル® Xeon® W-3175x プロセッサー、NVIDIA GeForce RTX* 2080TI 11GB、1TB SSD。どちらのプラットフォームでも Cinema 4D* R20 を使用。2019 年 4 月現在の David Brodeur 氏によるテストに基づいています。

2. 新しいプラットフォーム: インテル® Xeon® W-3175x プロセッサー、NVIDIA GeForce RTX* 2080TI 11GB、1TB SSD。以前のプラットフォーム: インテル® Core™ i7-6700k プロセッサー、2 x Nvidia GeForce GTX* 1080 Ti グラフィックス・カード。どちらのプラットフォームでも Cinema 4D* R20 を使用。2019 年 5 月現在の Aaron Covrett 氏によるテストに基づいています。

3. 新しいプラットフォーム: インテル® Xeon® W-3175x プロセッサー、NVIDIA GeForce RTX* 2080TI 11GB、1TB SSD。以前のプラットフォーム: インテル® Xeon® プロセッサー E5-2699 v4。どちらのプラットフォームでも Cinema 4D* R20 を使用。2019 年 6 月現在の Marc Potocnik 氏によるテストに基づいています。

性能の測定結果はシステム構成の日付時点のテストに基づいています。また、現在公開中のすべてのセキュリティー・アップデートが適用されているとは限りません。詳細は、システム構成を参照してください。絶対的なセキュリティーを提供できる製品またはコンポーネントはありません。


製品とパフォーマンス情報

1性能は、使用法、構成、およびその他の要因によって異なります。詳細は、www.intel.com/PerformanceIndex (英語) を参照してください。

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