編集長の夏休みの工作 パート 2

同カテゴリーの次の記事

究極のモバイルオフィス!?

前回の記事で ATX フォームファクターを使用したインテル® Xeon Phi™ システムの工作を紹介しましたが、もう少し小さなシステムができそうなので作ってみました。

今回は、Micro ATX 向けのケースを使います。ケースは Abee の AS Enclosure 220HTR (for Micro ATX) です。このケースの特徴は、フロントパネル内に配置される吸入 FAN がケース内側にオフセットして配置されており (写真右下の黄色い枠線の部分)、アドインカードをダイレクトに冷却できることです。FAN は合計で、フロントパネルに 2 つ、バックパネルに 1 つ、そしてサイドパネルに 1 つ搭載できます。しかし、付属する FAN の風量が 43.8CFM なので、そのうち 2 つは例によってオウルテックの PWM ファン (最大風量 99CFM) に入れ替えます。

搭載するマザーボードは、ASUS の Z170M-PLUS です。このマザーボードは、「Above 4GB MMIO BIOS assignment」 (Above 4G Decoding) がサポートされています。表記が少し違いますが、説明を見ると;

This item allows you to enable/disable above 4G memory mapped IO BIOS assignment. By degfault this item is set to [Disabled] when Aperture Size is set to 2048 MB. Configuration option: [Disabled][Enabled]

とありますので、ダイジョブと憶測しました。ASUS の Z170 系のマザーボードは、製品によって BIOS の表記が「Above 4GB MMIO BIOS assignment」であったり、「Above 4G Decoding」であったりします。

組み立て前に問題点として判明していたことは、CPU を含め FAN の電源/制御端子が 3 つしかないことです。CPU 以外に 3 もしくは 4 つの FAN を搭載する予定なので、端子を分岐するか、足りない分は電源から直接取るか検討します (最終的に端子 2 分配コネクターを使いました)。

このシステムでは 2 枚差しの予定はないので、電源は、Corsair RM series(RM1000) に、また、CPU クーラーは水冷ではなく FAN 付きヒートシンク型の SilverStone Heligon HE01 にしました。CPU は、Core i7 6700K を搭載します。オンチップに HD グラフィック 530 が搭載されているので、グラフィック・カードを搭載する必要がありません。PCIe のスペースは、すべて Xeon Phi で使うことができます。

プロセッサーとメモリーを装着して、ケースに収め動作確認します。256G バイトの SSD を 1 台装着し、Windows* 7 SP1 64 ビットをインストールします。Xeon Phi を装着する前に、マザーボードの BIOS を対応するものに書き換えて、BIOS 設定で「Above 4G MMIO assignment」を「有効」にします。この機能を「有効」にしないで、Xeon Phi を装着するとシステムが起動しません。

Xeon Phi コプロセッサーを装着してみました。コプロセッサーカードのすぐ近くに吸入ファンがあるので、かなりの風量を当てることができます。当初はサイドファンを追加する予定でしたが、このままで行けそうなのでとりあえず組み上げてみます。

後は、Windows* 環境で MPSS のインストールを行い、Xeon Phi カードをセットアップします。セットアップ後カードの動作を確認します。ちなみに Xeon Phi は Intel® Xeon Phi™ Coprocessor 3120A (6GB, 1.10GHz, 57 core) です。この製品はアクティブ FAN が付いたものです。アイドル状態のコア温度は 55 度近辺でした。

計算負荷をかけてみます。消費電力 200W 以下は、70 度を超えることはほとんどありません。前回組み上げたシステムと同等かそれを少し上回る冷却性を達成できているようです。

これで、デスクトップ用のマイクロ ATX ケースでも Xeon Phi を十分に評価できることが分かりました。

現在の推定される大雑把な最大消費電力:
Core i7 6700K          91W
Xeon Phi 3120A       300W
SSD                        200mW
FAN 類                    10W
マザーボード            不明 (100W ~ 150W)

組み立て後記:

今回採用した ASUS の マザーボード Z170M PLUS は、Web で公開されているユーザーズマニュアルには、「Above 4G MMIO assignment」がサポートされていると記載されていましたが、実際起動してみるとこの設定が見当たりませんでした。技術サポートに問い合わせをして、Xeon Phi コプロセッサーを装着するためこの機能が必要であることを伝え、カスタム BIOS を提供頂きました。このシリーズのマザーボードを使って Xeon Phi コプロセッサー向けのシステムを構築される方で、同様の問題に遭遇された場合、技術サポートにお問い合わせください。


改造追記:

温度管理にコルセアリンクを導入してみました。マザーボードの温度管理とは別に、ファン管理をする製品です。

ケース内にコルセアリンクを設置して、CPU 以外のファンをすべてコルセアリンクに接続し、Xeon Phi カードの温度をセンスするため、2 つのセンサーを装着してみました。写真左の赤枠がコルセアリンクで、右の赤枠が Xeon Phi カードに接着した 2 つのセンサーです。

Windows を起動して管理ソフトウェアをインストールすると、センサーの温度やファンの回転数が視覚的に表示できます。どうやら、マザーボードや他のデバイスの温度やファンの回転数も拾って表示してくれるようです。

Xepn Phi カードへのセンサーの設置場所によっては、もっと正確な MICSMC に近い値を拾えるかもしれません。

関連記事

  • 編集長の夏休みの工作編集長の夏休みの工作 2015 年は、8 月の第一週に夏休みをとることにしました。が、急遽 Xeon Phi のマシンが必要になり、オフィスというか自宅用に一台工作をしてみました。Xeon Phi のマシンといえば、サーバーやワークステーション筐体の重くてうるさいやつが大半ですが、自宅用にはまったく不向きなので、古い ATX […]
  • 編集長の記事編集長の記事 編集長が過去に執筆した iSUS 記事一覧です。 取材 Allinea 社の マーク・オコナー氏のインタビュー インテル® […]
  • HPC パフォーマンスの測定HPC パフォーマンスの測定 この記事は、インテル® デベロッパー・ゾーンに掲載されている「Measuring performance in HPC」の日本語参考訳です。 この記事は、HPC (ハイパフォーマンス・コンピューティング) におけるインテル® Xeon Phi™ コプロセッサーについて紹介するシリーズの 1 つ目です。インテル® Xeon […]
  • 追加された AVX-512 命令追加された AVX-512 命令 この記事は、インテル® デベロッパー・ゾーンに掲載されている「Additional AVX-512 instructions」の日本語参考訳です。 James Reinders2014 年 7 月 17 日 インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション 512 (インテル® AVX2) 最新の「Intel® […]
  • ケーススタディー: 計算集約型ループにおける構造体配列 (AOS) および配列構造体 (SOA) データレイアウトの比較ケーススタディー: 計算集約型ループにおける構造体配列 (AOS) および配列構造体 (SOA) データレイアウトの比較 この記事は、インテル® デベロッパー・ゾーンに公開されている「Case study: Comparing Arrays of Structures and Structures of Arrays Data Layouts for a Compute-Intensive Loop」の日本語参考訳です。 ケーススタディーの […]