適切なサーバー・プロセッサーの選択

この記事は、インテルのウェブサイトで公開されている「Server Processors: Choosing the Right Server CPU」の日本語参考訳です。原文は更新される可能性があります。原文と翻訳文の内容が異なる場合は原文を優先してください。

適切なパフォーマンス、管理性、セキュリティー、AI アクセラレーション機能を備えたサーバー・プロセッサーは、ビジネスを成功に導きます。

プロセッサーはサーバーの最も重要なコンポーネントですが、パフォーマンス、管理性、セキュリティー、AI 機能など、何を優先すべきかを判断するのは難しいものです。このガイドでは、利用可能なサーバー・プロセッサーの種類と、どこから始めるべきかアドバイスを提供します。

サーバー・プロセッサーとは?

プロセッサーはコンピューターの頭脳であり、計算、タスク、機能を実行します。サーバー・プロセッサーは、以下のような高負荷で複雑なワークロードを処理するように設計されている点でデスクトップ向けプロセッサーと異なります。

オフィスや世界中のリモートワーカーや顧客の電子メール交換、ファイル共有、データベース・トランザクション。
数百万台の接続デバイスのネットワーク・トラフィック・ルーティングを処理する通信サービス。
ベルトコンベアからロボットアームやカメラまで、工場の生産ライン上の複数のデバイスの接続と制御。
AI を使用したゲノムのマッピングや地球規模の気象パターンのシミュレーションなどの高度な計算タスク。

サーバー・プロセッサーを選択する際に考慮すべき要素

ターゲットとなるアプリケーションや使用例に応じて、適切なサーバー・プロセッサーは異なります。このプロセスでは、予想されるニーズとプラットフォームの総コストのバランスをとりながら、サーバー・プラットフォームのすべてのコンポーネントが最大性能またはそれに近い状態で動作する「高稼働率」を目指します。言い換えれば、テクノロジーへの投資から最大限の価値を引き出し、テクノロジーがアイドル状態になるような状況を回避することを目指します。

コア、クロック速度、スレッド、マザーボード

サーバー・プロセッサーについて検索すると、コア、スレッド、周波数といった用語が出てきます。ここでは、基本的なプロセッサー用語について説明します。

プロセシング・コア: プロセッサー内の物理的な計算ユニット。
スレッド: プロセッサー・コアが実行する仮想コード行。ほとんどのコアは最大 2 つのスレッドを処理できます。
周波数 (クロック速度): コアがスレッドを処理できる速度。
キャッシュ: ワークロードの実行に役立つ、プロセッサー専用のオンチップメモリー。
熱設計電力 (TDP): プロセッサーの動作熱を放散する能力をワットで表したもの。
マザーボード (サーバーボード): ソケットにプロセッサーを装着し、電源、メモリー、ストレージ、およびアドイン PCIe カード (アクセラレーター、ネットワーク・インターフェイス・カード (NIC)、グラフィックス・カード/グラフィックス・プロセシング・ユニット (GPU) など) を含むサーバー内のほかのすべてのコンポーネントを接続する部品。

インテル® プロセッサーは、コア数、スレッド数、クロック速度、TDP において幅広い選択肢を提供し、あらゆるユースケースに最適なソリューションを提供します。さらに、高度な機能により、特殊なユースケースにおけるワークロード処理とサーバー効率を向上させ、イノベーションと新しいサービスの提供を可能にしながら、所有コストを削減します。

AI アクセラレーションを内蔵したプロセッサーは、自動化やアナリティクスに AI を導入する際のコンピュート要件を引き下げることができます。一部のインテル® プロセッサーでは、インテル® ディープラーニング・ブースト (インテル® DL ブースト) を利用して、AI のトレーニングと推論ワークロードを加速できます。
内蔵のセキュリティー機能は、サーバーの起動時に信頼ルートを確立するのに役立ち、低いオーバーヘッドで高速なデータ暗号化を提供します。一部のインテル® プロセッサーに搭載されているインテル® ソフトウェア・ガード・エクステンション (インテル® SGX) は、メモリー上のデータを保護してプラットフォームのハードニング (堅牢化) を強化するのに役立ちます。
統合グラフィックス・プロセシング・ユニット (iGPU) は、浮動小数点演算を含むグラフィックス・ワークロードまたは AI ワークロードを処理するサーバーに役立ちます。ワークステーションが、コンピューター支援設計 (CAD) やレンダリングなどの特殊なタスク用に構築されている場合、サーバーグレードのプロセッサーを使用することもあります。インテル® プロセッサーは、インテル® X^e グラフィックス・アーキテクチャーのグラフィックス機能を備えており、ディスクリート GPU の必要性を軽減します。
エラー訂正コード (ECC) メモリーのサポートにより、システムメモリー内の 1 ビットのデータ破損を検出して修正することで、サーバーの稼働時間が向上します。この機能を利用するには、プロセッサーが ECC をサポートし、サーバーに ECC メモリーモジュールが搭載されている必要があります。一部のインテル® プロセッサーは ECC をサポートしており、組込みまたは産業用途で特に有用です。

クラウド・インスタンス向けサーバー・プロセッサー

パブリック・クラウド・サービス・プロバイダー (CSP) 環境では、クラウドの計算リソースは基盤となるハードウェアから抽象化されるため、コア数やスレッド数、クロック速度は二次的な考慮事項ですが、ビジネスで使用するクラウド・インスタンスにどのようなプロセッサーが搭載されているかを知ることには利点があります。マルチテナント環境でデータを暗号化し、ほかのワークロードから分離して保護するのに役立つ、ハードウェアベースのセキュリティー機能を備えたプロセッサーを選択してください。

サーバー・プロセッサーで優先すべきこと

最速でコア数が最も多いプロセッサーを購入しても、その総計算能力のほんの一部しか使用しないのであれば無駄になります。これは、通勤のためだけにレーシングカーを購入するようなものです。単純なタスクにハイエンド・プラットフォームを維持するコストは、そのメリットを完全に上回ってしまうでしょう。

すべてのコアが同じように構成されているわけではありません。高負荷ワークロード向けの計算能力を備えているものもあれば、ビデオや AI の処理を高速化する統合グラフィックスを備えているもの、IT 部門の機能を拡張する統合セキュリティーおよび管理機能を備えているものもあります。そのため、ビジネス成果の達成に役立つ機能を優先する必要があります。

顧客中心の設計

インテルは、アプリケーションやターゲットとなるユースケース全体にわたる特定の顧客ニーズに対応するプロセッサーを設計するため、継続的に革新を続けています。

インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、4 世代にわたる実績があり、あらゆるアプリケーションに対応します。Bronze、Silver、Gold、Platinum の SKU は、主要なハードウェアベースの AI アクセラレーションとセキュリティー機能を備え、成長するデータセンターのニーズに対応するため、顧客に段階的なパフォーマンスを提供します。各製品ラインには、ネットワーク用の N-SKU やメディア用の M-SKU など、より用途を絞ったパフォーマンスを実現するためテクノロジー・プロバイダーが推奨できる特殊な SKU があります。

インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、ほぼすべてのアプリケーションやニーズに対応するソリューションを提供しますが、特定のユースケースに対応するため、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーの追加のバリエーションも用意されています。

インテル® Xeon® D プロセッサーは、エッジ AI、IoT、通信のユースケース向けに設計されたシステムオンチップ (SoC) です。このプロセッサーは、耐久性、スペースの制約、屋外でのアプリケーションを念頭に置いており、ほかのプロセッサーが使用できない場所でも使用できます。
インテル® Xeon® E プロセッサーは、オンプレミス・サーバーを求めている中小企業に適した、ビジネス対応のパフォーマンスを提供するエントリーレベルのプラットフォームです。
インテル® Xeon® W プロセッサーは、VFX のレンダリングやコンピューター支援設計、医療診断などの設定における AI 駆動のワークフローなどのワークステーション・アプリケーション向けに設計された主力プロセッサーです。

テクノロジー・パートナーとの連携

サーバーが満たすべきユースケース、アプリケーション、ビジネス目標は多岐にわたります。どのような選択をする場合でも、最も確実なアドバイスは、独断で進めないことです。テクノロジー・パートナーや専門家は、どのようなユースケースでも最適な構成についてアドバイスすることができ、ほとんどのユースケースは適切にマッピングされ、理解されています。OEM、システム・インテグレーター、ソリューション・プロバイダー、またはインテルなどのチップメーカーに相談して、回答とガイダンスを得てください。

インテルを選ぶ理由: 適切なプロセッサーであるだけでなく、適切なソリューション

インテルは、サーバー・プロセッサーに加えて、インテル® Optane™ テクノロジーによる高性能メモリーと不揮発性ストレージ、インテル® イーサネット製品、インテル® インテリジェント・ファブリック・プロセッサーによるプログラマブル・スイッチ、インテル® FPGA など、包括的なサーバー・ハードウェアのポートフォリオを提供しています。ハードウェア、ソフトウェア、サービスにわたるインテルのテクノロジー・パートナーのエコシステムは、市場投入までの時間と価値実現までの時間を短縮する、実績のある信頼性の高いソリューションを提供します。インテルは、リソース、トレーニング、フォーラムを通じて、グローバルな開発者コミュニティーをサポートし、開発者同士の交流やアイデアの共有を行っています。

製品に対する責任

インテルはチャネルパートナーを通じて、最長 15 年間の保守と、購入後最長 3 年間の保証を提供しています。問題や品質に関する懸念がある場合、インテルは透明性のある方法でお客様のニーズに対応します。

ソフトウェアと最適化

ハードウェアは単独で存在するものではありません。ソフトウェアは、テクノロジー投資から最大限の価値を引き出すため、プロセッサー上でより効率的に動作するように調整できます。インテルは、インテル® アーキテクチャー上で最も一般的なソフトウェア・ソリューションを最も効率的良く実行する方法を見つけることを目的として、数千人もの開発者を世界中に擁しています。オープンソース・コミュニティーも、インテルからの緊密な協力とサポートにより、イノベーションを促進し、業界全体の課題を解決しています。

選択の開始点

サーバー・プロセッサーの選択を開始する最良の方法は、テクノロジー・プロバイダーと協力して、特定のニーズに適したインテル® Xeon® プロセッサー対応ソリューションを見つけることです。

FAQ

サーバー・プロセッサーとは何ですか?

サーバー・プロセッサーは、複数のオフィスでのファイル共有や電子メールの交換から、何百万もの顧客を抱えるクラウド・サービス・プロバイダーのデータセンターまで、サーバーが処理する高負荷のワークロードをサポートするように設計されています。デスクトップ・プロセッサーと比較すると、サーバー・プロセッサーは一般に、より高い計算能力を提供し、ハードウェア・アクセラレーションによる AI およびセキュリティー機能を備えており、ECC メモリーなどの特殊なテクノロジーをサポートします。