インテル® プロセッサー・グラフィックスについてよくある誤解

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この記事は、インテル® ソフトウェア・ネットワークに掲載されている「Common Misconceptions of Intel® Processor Graphics」の日本語参考訳です。


インテル® GMA X3000 プロセッサー・グラフィックスのテクニカル・アップデート

インテル® グラフィックス・メディア・アクセラレーター (インテル® GMA) X3000 は、3D 処理を必要としないビジネスユーザーおよびパーソナルユーザーのほとんどのディスプレイ・ニーズに応えることができます。グラフィックス・コアはチップセットに内蔵され、マザーボードに統合されています。そして、プロセッサー・グラフィックス・チップでは初めてハードウェア変換 & ライティングに対応しています。

インテル® GMA X3000 はメモリー・コントローラー・ハブに組み込まれ、システム・オーバーヘッドを大幅に減らすように、オペレーティング・システムとシステムメモリーを共有します。インテル最大のグラフィックス・コア、インテル® GMA X3000 はチップセットに統合され、エンドユーザーに驚異的なグラフィックス・パフォーマンスを安価に提供します。このバランスの良いシステムデザインは PC 購入者から高い評価を受けており、インテルのグラフィックス技術は PC ユーザーから最も魅力的なソリューションの 1 つに選ばれています。

ここでは、インテルのグラフィックス技術に関するよくある誤解について説明します。プロセッサー・グラフィックスについての一般的な通念を検証し、業界誌では取り上げられることのない深い洞察を提供します。また、ソフトウェア・ベンダーの懸念事項や、インテル® GMA X3000 に関する情報 (機能、サポート、幅広く利用されているグラフィックス技術を使用する理由など) も取り上げます。ここで提供する情報が、読者、エンドユーザー、そしてあらゆる方々の知識と経験を広げるお役に立つことを願っています。

インテル® プロセッサー・グラフィックスとは?

インテル® GMA X3000 チップセットには、インテル® ダイナミック・ビデオ・メモリー・テクノロジー (DVMT) に加え、Microsoft* DirectX* 9.0C や OpenGL* 1.5X を利用する 3D グラフィックスのハードウェア・アクセラレーションなど、これまでのインテルのグラフィックス技術が組み込まれています。

インテル® GMA 3×00 (946GZ、Q963、Q965、G31、Q33、Q35、G33) は Shader Model 3.0 でソフトウェア・バーテックス・シェーダーとハードウェア・ピクセル・シェーダーをサポートしているのに対し、インテル® GMA X3000 チップセットは最新のドライバーを使用する場合、Shader Model 3.0 でハードウェア・バーテックス・シェーダーとハードウェア・ピクセル・シェーダーをフルサポートしています。

インテル® GMA X3000 チップセットで使用されているグラフィックス・コアは、このアーキテクチャー上で構築された最初のプラットフォームで、インテル® GMA X3000 グラフィックスと呼ばれます。このアーキテクチャーの将来のバージョンでは、機能とパフォーマンスが強化され、次世代のチップセット・プラットフォームで使用される予定です。

詳細

インテル® Core™ 2 Duo プロセッサーと組み合わせることで、インテル® GMA X3000 チップセットは優れたシステムレベルのパフォーマンスと応答性を提供します。

インテル® GMA X3000 シリーズのチップセット・グラフィックス

グラフィックス・コア GMA 3000 GMA 3100 GMA X3000 GMA X3100 GMA X3500
チップセット 946GZ Q963 Q965 G31, Q33, Q35 G33 G965 GM965, GL960 G35
クロック速度 (MHz) 667/400 667 667 400 667
バーテックス・シェーダー・モデル 3.0 4.0
ピクセル・シェーダー・モデル 2.0 3.0 4.0
ピクセル・パイプライン NA 4 NA
統合シェーダー・プロセッサー NA 8 8
ハードウェア・バーテックス・シェーダー 正式には未サポート ×
ピーク・メモリー・バンド幅 (GB/秒) 10.7 12.8 17.1 12.8
最大ビデオメモリー (MB) 256 384
OpenGL* のサポート 1.4 1.5 2
DirectX* API のサポート 9 10
MPEG-2 ハードウェア・アクセラレーション 動き補正 VLD + iDCT + MC
VC-1 ハードウェア・アクセラレーション × MC (WMV9 のみ) MC + インループフィルター

表 1: インテル® GMA X3x00 シリーズの機能

インテル® GMA X3000 シリーズは、それ以前のインテルのグラフィックス・ハードウェアと比べて格段に強力なグラフィックス・コアです。外付け型のグラフィックス・デバイスでは、グラフィックス・サブシステムは主に PCI Express バスを利用します。

しかしながら、インテル® GMA X3000 では、グラフィックス・サブシステムは GPU リソース (グラフィックス・メモリー・コントローラー・ハブ (GMCH)) だけでなく、場合によっては CPU (システムメモリー、チップセットに統合されたグラフィックス・コア) も利用します。

3×00 シリーズのグラフィックスは、3D 処理の最初の段階 (幾何学処理) に CPU を使用し、残りはチップセットで処理するため、あまり CPU に依存していません。インテル® GMA X3000 は、システムとグラフィックスにおいてシステムメモリーをバランス良く利用し、最適なコスト/パフォーマンスを達成します。

インテル® G945 やインテル® GM945 などの以前のチップセットでは 4 ピクセル・パイプライン (400 MHz) でしたが、インテル® GMA X3000 (G/GM965) では 8 つの統合シェーダー・プロセッサーが 667MHz で実行されます。インテル® GMA X3000 は、以前のチップセットと同様に共有メモリー・アーキテクチャーを使用しています。グラフィックスとその他のシステム・アプリケーションがメモリーを共有するため、優れた品質とパフォーマンスを得るためには、メモリーバンド幅が非常に重要になります。

Hardware Zone (PC 専門 Web サイト) は、「インテル® GMA X3000 は 667MHz という高速なクロック速度で実行するだけでなく、ハードウェア変換 & ライティング (T&L) ユニット、Vertex Shader 3.0、Pixel Shader 3.0、Shader Model 3.0 (SM3.0)、ハイダイナミック・レンジ (HDR)、グラフィックス処理に必要な 32 ビット浮動小数点計算など、すべての機能をグラフィックス・エンジン内でサポートしています。」と賞賛しています。

インテル® プロセッサー・グラフィックスについての誤解

長年にわたり、インテルは価値あるグラフィックス・パフォーマンスを提供してきました。そして、これらのソリューションは、価値志向のビジネスユーザーおよびパーソナルユーザーに受け入れられてきました。インテル® GMA X3000 のグラフィックス・コアには、幅広いメインストリーム・ユーザーが求めている機能が搭載されています。

インテルでは、ソフトウェア購入者の大半を占め、システムの機能を最大限に利用してゲーム・アプリケーションを楽しみたいと思っているのはメインストリーム・ユーザーであると考え、さらなるパフォーマンスと価値を提供するハードウェアの構築に取り組んでいます。このセクションでは、インテル® プロセッサー・グラフィックスに関するよくある誤解について解析します。

誤解 1: インテル® プロセッサー・グラフィックス・チップセットでは 3D ゲームを実行できない

古いバージョンのインテル® インテグレーテッド・グラフィックス・ソリューションを基に、インテルのハードウェアでは最新の 3D ゲームを実行するのが困難であると結論付けられていることがあります。しかし、インテル® GMA X3000 のグラフィックス・コアは、メインストリームのゲームをプレイするのに十分なフレームレートを備えた統合ソリューションであることが実証されています。例えば、次のようなゲームを楽しむことができます。

  • Age of Empires III: War Chiefs Expansion* (Ensemble*/Microsoft*)、27 FPS
  • F.E.A.R.* (Vivendi*)、47 FPS
  • Dungeons & Dragons Online* (Turbine*/Atari*)、54 FPS
  • Star Wars: Empire at War*(Lucas Arts*)、32 FPS
  • World of Warcraft*(Blizzard*/Vivendi*)、29 FPS

高度な要件を満たすゲーム環境であっても、ハードコアゲームにはアドイン・グラフィック・カードが必要になります。しかしながら、メインストリーム・コンシューマーの専門家は、市場のほとんどのゲームはインテル® GMA X3000 シリーズで十分楽しむことができるとしています。

誤解 2: インテルのグラフィックス市場におけるシェアはわずかである

デスクトップ分野において、Mercury Research 社の報告によると、インテルはプロセッサー・グラフィックス市場の大半を占めています。2006 年にインテルはプロセッサー・グラフィックス市場において最大のシェア (約 50%) を誇り、第 2 位との差は 2 倍以上ありました。グラフ 1 は、デスクトップ分野における 3D 対応アクセラレーター市場の動向をユニットベースで表したもので、2011 年の予測も含まれています。(出典: IDC、「Mercury Research PC Graphics Report」 John Peddie)

デスクトップ Gfx (ku)* 2006 2007 2008 2009 2010 2011
外付け型 83,500 75,117 67,580 64,459 65,377 66,873
統合型 137,351 122,833 112,078 107,892 108,961 110,981
デスクトップ合計 220,851 197,950 179,658 172,351 174,338 177,854
モバイル Gfx (ku)* 2006 2007 2008 2009 2010 2011
外付け型 19,942 25,108 30,547 33,555 38,185 40,919
統合型 59,826 75,324 91,641 112,336 135,382 163,676

モバイル合計
79,768 100,433 122,188 145,891 173,567 204,595

表 2: インテルの市場シェアとプロセッサー・グラフィックスの成長予測


グラフ 1: インテルの市場シェアとプロセッサー・グラフィックスの成長予測

表 2 とグラフ 1 は、プロセッサー・グラフィックス市場におけるインテルおよび他社のシェアと今後の成長予測を表したものです。

これまで、グラフィックス・パフォーマンスを追及するアプリケーション開発者の間では、統合型のソリューションはメインストリーム・ゲーマーが求めるコンテンツの開発に必要な機能を備えていないと考えられていました。しかしながら、インテル® GMA X3000 は Shader Model 3.0 の機能をサポートしているため、さまざまなグラフィックス機能を計算連続体の処理全体にわたって容易に利用できます。

近い将来、ハードコアゲーマーが外付けグラフィックス・ソリューションから遠ざかることはないかもしれませんが、市場の中間層では優れた価値を安価で提供するインテル製品に移行しつつあります。インテルは、このような PC ユーザーの支持を受け、市場シェアを伸ばしていくでしょう。そのため、インテル® GMA X3000 をサポートすることで、楽しく魅力的なビジュアル体験により顧客の層を拡大して、売上げの増加につなげることができるでしょう。

誤解 3: インテルのグラフィックスは変換 & ライティング処理が遅い

T & L は「変換 & ライティング (Transform and Lighting)」の略で、ハードウェア変換およびライティングを指します。アプリケーション開発者は、一定レベルのパフォーマンスを達成するためには、外付け型の変換 & ライティング・ソリューションが必要であると考えがちです。

インテル® GMA X3000 グラフィックス・ドライバーは、優れたアプリケーション・パフォーマンスを達成しつつ、ハードウェアかソフトウェアかにかかわらず、GPU または CPU に最適なタスクに応じて、最適な変換とライティングの組み合わせを可能にします。要求に応じて (オンデマンド) T & L 処理に CPU または GPU を使用することで、インテル® GMA X3000 のパイプラインは最も適切なグラフィック・ワークロード・バランスの組み合わせで最適化されます。

通常、ゲームが遅くなるのは、T & L のボトルネックが原因ではありません。ほとんどの場合、原因はピクセルのスループットにあります。T & L にボトルネックがある場合は、ゲーム・アーキテクチャーに深刻な問題があることが考えられます。問題を理解し、実際に問題が発生している場所を特定するには、インテル® VTune™ パフォーマンス・アナライザー (および2010年に発表されたインテル® VTune™ Amplifier XE) を使用すると良いでしょう。

グラフ 2 に示すように、インテルのグラフィックスは進化を続けています。特にこれは他社製品と比べた場合に顕著です。

一般的なグラフィックス・パフォーマンス
グラフ 2. インテル® プロセッサー・グラフィックスのパフォーマンス比較
出典: Anandtech

誤解 4: インテル® グラフィックス・ドライバーには問題が多い

以前のインテル® グラフィックス・ドライバーに問題があったのは事実ですが、インテルのドライバーチームではこれらの問題を修正するべく取り組んでおり、問題に優先順位を付けて、優先度の高いものから順に調査し修正にあたっています。インテルのソフトウェア & ソリューション・グループには報告された問題を処理するための専門のエンジニアがいます。ISV はインテルの担当者に問題を報告できます。

現在、インテルは市場シェアトップであり、非常に優秀で才能あふれる人材を抱えています。今後数年間で、インテル® グラフィック・ドライバーは業界において不動の地位を確立することを目標としています。そのためには、ISV やゲーマーを含むグラフィックス業界全体の協力が必要です。インテル® グラフィックス・ドライバーの不具合を発見した場合は、次の手順に従ってインテルのドライバーチームまでご連絡ください。

  • 最新のインテル® グラフィックス・ドライバーをダウンロードします。
  • 他社製のパーツでテストを行い、問題がインテル® グラフィックスでのみ再現することを確認します。
  • 問題の詳細とイメージ/再生状況をキャプチャーしたものをご用意ください。
  • 問題を再現できるテストケース (.PIXRun ファイル) を作成してください。
  • テストケースをインテルの御社担当者にお送りください。担当者がいない場合は、インテルの発行元担当者にお送りください。このインテルの担当者とは、CPU 情報や最適化について問い合わせを行う担当者のことです。

インテル® GMA X3000 グラフィックス向けにアプリケーションを最適化する方法

インテル® GMA X3000 グラフィックス向けにアプリケーションを最適化して最高のパフォーマンスと機能を引き出す方法はいくつかあります。

  • インテル® VTune™ パフォーマンス・アナライザー (および2010年に発表されたインテル® VTune™ Amplifier XE) を使用して、システム全体レベルからソースレベルまでのパフォーマンス・データを確認し、複数のオペレーティング・システム・プラットフォーム、開発環境 NTS、最新のインテル® プロセッサー向けに最適化できます。
    このツールを使用すると、グラフィックス・ドライバーに費やされた時間とアプリケーションに費やされた時間を特定できます。また、最適化候補のトップ 10 を容易に見つけることができます。 

    • 最新の Microsoft* DirectX* 9 SDK とシンボルをダウンロードします。
    • インテル® VTune™ パフォーマンス・アナライザー (および2010年に発表されたインテル® VTune™ Amplifier XE) でシンボルを関連付けます。
    • シンボルファイルを Microsoft* DirectX* のバイナリーファイルとゲームの実行ファイルを関連付けます。
  • Microsoft* PIX を使用して、アプリケーションのボトルネックと DirectX* API に費やされた時間を特定します。インテルのグラフィックス・パーツの多くでは PIX プラグインが提供されているため、チップセットとチップセット・ドライバーのグラフィックス・パフォーマンスをモニターできます。

まとめ

ここでは、市場シェアトップを誇り、抜群なビジュアル体験を提供し、ポピュラーなゲームで優れたパフォーマンスを発揮できるインテル® GMA X3000 グラフィックス・ファミリーについて紹介しました。アプリケーションのターゲット・プラットフォームとしてインテル® GMA X3000 グラフィックスを採用することがなぜユーザーの拡大につながるのか、ここで取り上げた情報を他の開発者と是非共有してください。『Intel® GMA X3000 Development Guide』(http://www.intel.com/cd/ids/developer/asmo-na/eng/popular/334680.htm (英語)) は、インテルのグラフィックス技術についてさらに理解を深めるのに役立つでしょう。

また、グラフィックス市場におけるインテルの位置付けとインテルのグラフィックス技術に関するよくある誤解についても究明し、解消しました。最新のインテル® GMA であるインテル® GMA X3000 グラフィックスは、グラフィックス・パフォーマンスと機能が大幅に強化されています。

インテル® GMA は、コアだけでなく、すべてのプラットフォーム・コンポーネントをバランス良く統合している点で、他社のグラフィックス・アーキテクチャーと一線を画しています。インテル® GMA X3000 グラフィックスは、グラフィックス市場の成長を代表しているといえるでしょう。

この大きな進化により、インテル® GMA は市場トップのグラフィックス・ソリューションの 1 つとなり、メインストリームの PC ユーザー向けにより豊富で優れた機能を安価に提供できるようになりました。インテルがグラフィックス・アーキテクチャー市場をリードしているということは、ISV にとって、メインストリームの PC ユーザー向けのアプリケーションにおいてこのソリューションをサポートする強い後押しとなることでしょう。

編集部注:インテル® GMA は、GMA 4500/X4500/4500HD/X4500HD などが追加され、2010年にはインテル® グラフィックス・メディア・アクセラレーターそのものが、インテル® HD グラフィックスという名称に変わっています。ここで紹介する GMA X3000シリーズは、2006年から2007年にかけて製品化されたものですので、記事は少し内容が古いかもしれません。しかし、内蔵グラフィックスの性能を評価するのに役立つかと思われるので掲載を決定しました。

関連情報

インテル® GMA X3000 チップセットについての誤解を解き、理解を深めるには『Intel® GMA X3000 Development Guide』(http://www.intel.com/cd/ids/developer/asmo-na/eng/popular/334680.htm (英語)) が役立ちます。

  • インテルのチップセットの比較表は、http://ark.intel.com/ (英語) を参照してください。
  • インテル® GMA X3000 の詳細は、http://www.intel.com/cd/products/services/emea/eng/150529.htm (英語) を参照してください。

著者紹介

Chuck DeSylva は、インテル社のソフトウェア & ソリューション・グループのソフトウェア・アプリケーション・エンジニアリング・マネージャーです。現在は、チーム一丸となって、インテル製品を搭載したデスクトップ・システムで、最先端の一般消費者向けソフトウェアのパフォーマンスの最適化に取り組んでいます。以前は、ドライバー開発者として、 USB 用の最初のデバイスドライバー、AGP (GART)、インテルの最初のグラフィックス・デバイス (i740/810(e)) の開発/製品化に携わっていました。

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