この記事は、インテルのブログで公開されている「ChkTag: x86 Memory Safety」の日本語参考訳です。原文は更新される可能性があります。原文と翻訳文の内容が異なる場合は原文を優先してください。
プログラミング上の誤りに起因するメモリー安全性の違反は、長年にわたりソフトウェアを悩ませてきました。産業界や学術界はこの問題の解決策を模索し続けています。2025年8月のインテルと AMD の x86 エコシステム諮問グループ (EAG) リーダーの投稿[1, 2] で初めて言及されたように、インテルと AMD は EAG の他のエコシステム・パートナーとともに、メモリー安全性のニーズに対応するため協力しています。両社は、ChkTag (「チェックタグ」と発音) という開発コード名の、ユニバーサルな x86 メモリータグ付け命令セット・アーキテクチャーの統一仕様の作成に取り組んでいます。これにより、x86 がエコシステムの進化するニーズに引き続き対応できるようになります。
現在のコンピューティング環境について、x86 メモリータグ付けの必要性を裏付ける 2 つの基本的な考え方があります。1 つ目は、メモリー安全性の違反は、セキュリティーと信頼性の主要な原因であるというものです。複数の政府のガイダンスは、「メモリー安全性に関する脆弱性は、開示されたソフトウェアの脆弱性の中で最も一般的である」[3] と述べており、これらの問題に対処するため、メモリーセーフ言語とメモリータグ付けの可能性を指摘しています[4]。これは、AI データを含む一般的なデータ・セキュリティーの懸念であり、政府は企業に対して防御を強く促しています[5]。2 つ目は、ハードウェア・アクセラレーションの必要性です。アドレス・サニタイザーなどのソフトウェアベースのスキームのパフォーマンスから、実稼働コードでメモリー安全性のチェックを可能にするには、ハードウェア・アクセラレーションが必要になることは明らかです。
ChkTag は、バッファー・オーバーフローや、解放されたメモリーの不正使用 (use-after-free) などのメモリー安全性の違反を検出する、一連の新しい x86 命令および機能強化された x86 命令です。ChkTag は、アプリケーション、オペレーティング・システムのカーネル、仮想化ハイパーバイザー、および UEFI ファームウェアを強化するのに適した設計となっています。ChkTag は、ソフトウェア開発者がセキュリティーのニーズと、コードの展開時に重要となる運用要素のバランスを取った制御を可能にします。例えば、ChkTag は、チェック対象となるメモリーアクセスを命令単位で細かく制御できます。コンパイラーは、最適化や新しい言語機能、あるいは組込み関数を提供できます。ChkTag は、メモリーセーフ言語で記述されたコードと他の言語で記述されたコードとの並行実行に備えて x86 を準備します。さらに、ChkTag は多くの場合、オンデマンドでコミット可能な線形/仮想メモリーからタグを読み込みます。
x86 エコシステム向けの新たな基盤技術の設計は、このアーキテクチャーの広範な普及と、その世界トップクラスのパフォーマンスに依存するシステムの多様性から、非常に困難な作業です。x86 プロセッサーは、世界最大のスーパーコンピューター、クラウド、パーソナル・コンピューター、ハンドヘルド・ゲーミング・デバイスを動かすために必要な計算能力を提供します。このアーキテクチャーの歴史は、他のどのプロセッサー・アーキテクチャーよりも広範なオペレーティング・システム、ソフトウェア、および周辺機器をサポートする数十億の x86 システムが広範囲に展開されていることからも明らかです。新しい技術は、これらを採用するソフトウェアの互換性を確保するため、この伝統を念頭に置いて設計する必要があります。x86 はすでに、シャドウスタックやコンフィデンシャル・コンピューティングなどの豊富なセキュリティー・メカニズムを提供しており、ChkTag はこれを補完します。インテルと AMD はパートナーと協力することで、x86 エコシステムに堅牢なメモリー・セーフティー・ソリューションを提供します。
参考資料:
[1] LinkedIn post by Jeff McVeigh, August 27, 2025, https://www.linkedin.com/posts/jeff-mcveigh-705b885_since-its-inception-the-x86-ecosystem-advisory-activity-7366537499730460673-oUol (英語) [2] LinkedIn post by Robert Hormuth, “Advancing x86, Together”, August 27, 2025, https://www.linkedin.com/pulse/advancing-x86-together-robert-hormuth-v4ywc (英語) [3] “The Case for Memory Safe Roadmaps”, December 2023, https://www.cisa.gov/resources-tools/resources/case-memory-safe-roadmaps (英語) [4] “Memory Safe Languages: Reducing Vulnerabilities in Modern Software Development”, June 2025, https://media.defense.gov/2025/Jun/23/2003742198/-1/-1/0/CSI_MEMORY_SAFE_LANGUAGES_REDUCING_VULNERABILITIES_IN_MODERN_SOFTWARE_DEVELOPMENT.PDF (英語) [5] “AI Data Security”, May 2025, https://media.defense.gov/2025/May/22/2003720601/-1/-1/0/CSI_AI_DATA_SECURITY.PDF (英語)
