Doctor Fortran による「2018 が新しい 2015」

インテル® Fortran コンパイラー

この記事は、インテル® デベロッパー・ゾーンに公開されている「Doctor Fortran in “Eighteen is the new Fifteen”」(https://software.intel.com/en-us/blogs/2017/11/20/doctor-fortran-in-eighteen-is-the-new-fifteen) の日本語参考訳です。


国際 Fortran 標準化委員会 (WG5) は、2012 年に開催された次の標準規格改訂スケジュールについての会議において、その非公式名称を「Fortran 2015」としました。その後改訂スケジュールは変更されましたが、名称は維持されました。現時点では、Fortran 2015 は 2018 年後半に発表される予定です。これに伴い、「名称に含まれる 2015 を発表される年に変更すべきでは?」という声が上がりました。

Fortran では、これに似た前例があります。Fortran 90 は、最初は Fortran 83 と呼ばれ、その後 Fortran 88、Fortran 8X に変わり、最終的に Fortran 90 となりました。同様に、Fortran 2000 は Fortran 2003 (2004 年に発表) になりました。Fortran 2008 の名称は変更されませんでしたが、発表されたのは 2010 年です。委員会では、原則として「技術的な作業が完了した年」を改訂名としていますが、このところしばらくはこれが守られていません。ユーザーと開発者からは、すでに時代遅れの言語であると誤解されている Fortran にとって 3 年も前の名前を持つことはためにならない、という懸念が高まっています。ほかの言語は、通常、発表された年に対応した名称が付けられています (例えば、C++17)。

第 2 回委員会草案 (CD) において、英国委員会はこの問題について提起し、J3 (米国委員会) での論議を要求しました。それに対する結果が 17-193r1 (英語) です。2017 年 10 月の会議において、J3 はこの件に関して「世論投票」を実施しましたが、結論には至りませんでした。そこで、私は WG5 の議長として、WG5 のメーリングリストの受信者に「Fortran 2018」への名称変更に対する投票と意見を求めました。結果は、賛成 17、反対 5 と決定的でした。(詳細は、WG5 文書 N2144 (英語) をご覧ください。)

この結果を受けて、現在策定中の標準規格の正式名称は Fortran 2018 になることに決まりました。これまで「Fortran 2015」が使用されてきたことは認識していますが、多くの人はこの名称変更が長期的にはメリットになると感じることでしょう。また、今回の議論を通して、Fortran 2018 以降の標準規格の非公式名称は「Fortran 2020」ではなく「Fortran 202x」とすることになりました。2020 は例であって、実際には次の改訂は早くとも 2021 年になると予想されます。何はともあれ、新たな名称になったことで、今回のような騒動が起こることはないでしょう。(C++ も策定中の標準規格を C++1x と呼んでいます。) ひょっとしたら、202x の後は 202y になるかもしれませんね。

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